賃金は、当然ながら労働者の生活の基盤を支える重要なものです。憲法第27条では、勤労の権利と義務を定めています。憲法の要請に基づいて、労働基準法や最低賃金法が賃金に関する定めをしています。
(憲法第27条)
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
児童は、これを酷使してはならない。
労使関係では、一般的に使用者側が優位に立つことがありえます。使用者側にとって一方的に有利な労働条件を示し、労働者にとって不利な状況にならないよう、賃金については特に多くの制限があります。
まず、賃金の定義についてです。「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定められています。この定義に該当する例として、以下のものが挙げられます。
・基本給、固定給等基本賃金 休業手当
・有給休暇日の給与
・超過勤務手当、深夜手当、 休日手当、宿直 ・ 日直手当
・遡って昇給した賃金
・扶養手当、家族手当等 食事、被服、住居の利益
・通勤手当(通勤定期券)
・年4回以上支給される賞与
・住宅手当、物価手当
・離職後に支払われた未払い賃金
・単身赴任手当、勤務地手当
・精勤手当、皆勤手当
・労働協約等によって事業主に支払いが義務付けられた所得税
・社会保険料等の労働者負担分
・技術手当、職階手当 特別作業手当、能率給 転勤休暇手当
・受験手当(実費弁償的でないもの)
・傷病手当支給終了後に事業主から支給される給与及び傷病手当
企業によっては、様々な手当を支給していることがありますが、賃金に該当するかどうかは、上記の定義に当てはめて判断されることになります。
会社が社員に何らかの名目で金銭を支払っていたとしても、労基法上の定義から外れるものは、賃金に該当しないということになります。例えば、以下のものが挙げられます。
①任意的、恩恵的給付(結婚祝い金、病気見舞い金、退職金など)
→但し、労働協約、就業規則、労働契約などによって支給条件が明確にされており、使
用者に支払い義務があるものは賃金になります。
②作業服、出張旅費、交際費等
③解雇予告手当
④ストックオプション
賃金に該当するか否かは、労基法上の定義の他、①のように会社が定める就業規則等にも左右されることになります。他にも、従業員が顧客から直接受け取るチップも賃金にはなりませんが、使用者がそのチップを一旦集め、後日給与と一緒に支払うような場合は賃金に該当します。
賃金の定義を明確に理解しておくことは、労務管理上非常に重要です。例えば、休業手当を支払うにあたって、賃金日額の計算を行う必要が生じた場合、どの手当を賃金として計算するかの線引きによって、支払うべき金額に差が生じてくることがあります。
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賃金の定義とは、について、沖縄県那覇市の社会保険労務士、仲宗根隼人が解説しました。労務管理に関するご相談は、アクティア総合事務所にお気軽にお問い合わせください。